大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和33(あ)122 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人井上春吉の上告趣意第一点乃至第三点、第五、六点について。

所論は何れも事実誤認、単なる法令違反の主張であつて適法な上告理由に当らな

い。原判決は、本件詐欺被害者等は何れも、本件売買の目的物は判示元公爵家所蔵

品である旨の被告人の虚言を信用したためこれを買受けたものであつて、そうでな

ければ本件売買は行われなかつたものであると認定しており、右認定に誤りはない

こと記録に徴して明らかである。されば右の如く、真実を告知するときは相手方が

金員を交付しないような場合において、目的物の出所来歴などにつき真実に反する

事実を告知してその旨相手方を誤信させ、金員の交付を受けた場合は、仮令価格相

当の目的物を提供したとしても、その交付を受けた金員全額につき詐欺罪が成立す

るものと解すべきである(昭和三四年(あ)第一一五六号同年九月二八日第二小法

廷決定、集一三巻一一号二九九三頁、昭和三二年(あ)第二三八五号同三五年一〇

月二六日第二小法廷決定各参照)従つてこれと同旨に出でた原判決には所論のよう

な違法はない。

同第四点について。

所論は違憲をいうけれども、原判決は被告人において、本件売買の目的物は判示

元公爵家の所蔵品である旨虚言を弄したものと認定したにとどまり、何等被告人に

対し、社会的身分又は門地により差別待遇を与えたものではないことその判文によ

り明白であるから、所論違憲の主張は前提を欠くものであり、所論の実質は事実誤

認、単なる法令違反の主張を出でないものであつて適法な上告理由に当らない。

また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお

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り決定する。

昭和三六年七月四日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 石 坂 修 一

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 高 橋 潔

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